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アトリエ公演2015

 

作:横光利一  演出:篠本賢一

 

Aプログラム 『閉らぬカーテン』『男と女と男』

Bプログラム 『日曜日』

 

今、甦る大正モダニズム・・・・・

文学史に燦然と輝く新感覚派・横光利一は「小説の神様」といわれたが、

生涯に11編の戯曲を残している。

劇団櫂人が掘り起こす珠玉の傑作戯曲選

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横光 利一(よこみつ りいち・1898~1947)

 大正から昭和にかけて活躍した小説家。1923年、『日輪』と『蝿』で鮮烈に文壇デビュー。川端康成らとともに新感覚派文学運動の旗手となる。1930年に発表した『機械』は文学界に衝撃を与え、日本モダニズム文学の頂点として絶賛される。また、評論活動も行い、長編『旅愁』では西洋と東洋の文明の対立について書き続けた。志賀直哉とともに「小説の神様」と呼ばれた。本公演の戯曲は『定本横光利一全集第12巻』(河出書房新社)所収による。

 

演出:篠本賢一

1961年東京生まれ。「遊戯空間」主宰。俳優、演出家。

故観世榮夫より能を学び、古典芸能を視野に据えた現代劇創作を展開。現在、一般社団日本演出者協会常務理事、杉並演劇祭審査委員、映画甲子園審査委員などの任に就く。

最近の演出作品に『夜叉ケ池』『天守物語』『怪談牡丹燈籠』『全段通しリーディング仮名手本忠臣蔵』『詩×劇 つぶやきと叫び-深い森の谷の底で』などがある。劇団 櫂人には旗揚げから参加している。

 

日時

2015年5月11日(月)14:00開演A① 19:00開演A②

    5月25日(月)14:00開演B③ 19:00開演B④

    6月  8日(月)14:00開演A② 19:00開演A①

    6月22日(月)14:00開演B④ 19:00開演B③

    7月  6日(月)14:00開演A① 19:00開演A②

    7月27日(月)14:00開演B③ 19:00開演B④

 

   *演出の都合上、開演時間を過ぎてのご入場はお断りする場合がございます。

    開場は、開演の30分前です。

 

 

出演 Aプログラム        ①          ②

   『閉らぬカーテン』  良人:甲斐照康    良人:甲斐照康

              細君:青木 恵    細君:脇田美穂子

   『男と女と男』    音:東條将孝     音:東條将孝

    (リーディング)  兼:服部次郎     兼:服部次郎

              お里:鈴木里花    お里:鳴海逸美

              語り:宮下文子    語り:向後正枝

 

   Bプログラム        ③          ④

   『日曜日』      月村:東條将孝    月村:東條将孝

              四谷:服部次郎    四谷:服部次郎

              千倉:甲斐照康    千倉:甲斐照康

              清子:福島 睦    清子:小池恵子

              婦長:田中淳子    婦長:田中淳子

              三木範子:戸張きみよ 三木範子:戸張きみよ

              三宅貞子:向後正枝  三宅貞子:宮下文子

              桃田:青木 恵    桃田:脇田美穂子

              牧師:宮下文子    牧師:向後正枝

 

あらすじ

『閉まらぬカーテン』お互い再婚の中年夫婦。夕食後の居間。細君は窓のカーテンが閉まらないといらだっている。良人は「閉めなくたって、いいさ」と取り合わない。夫婦のとりとめない会話はどこへいくのか・・・・・。(大正15年・雑誌『演劇新潮』に発表)
『男と女と男』春。森の中の樵夫場。音はハイカラな色白男。兼は無骨な醜男。お里は田舎宿の女中。音は樵夫をやめて、東京に行って役者になるという。兼は密かにお里に惚れている。お里は音の子どもを身ごもったという。さて、この顛末は・・・・・。(大正13年・雑誌『我觀』に発表)
『日曜日』5月の晴れ上がった朝。丘の上にある療養院の日光室。マネージャーの千倉と婦長は怪しい仲。患者の月村と看護婦の清子も怪しい仲。患者の月村・四谷・範子・貞子が日光室で繰り広げるとりとめのない会話がやがて・・・・・。(昭和7年・雑誌『中央公論』に発表)

 

会場 アトリエそら(東京都板橋区弥生町58-5 スペースsolaB1F)

    東武東上線中板橋駅南口下車徒歩5分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アトリエ公演は、劇団櫂人の稽古場である「アトリエそら」に24席の仮設客席を作って行います。ご不便をおかけいたしますが、なにとぞご理解くださいますようお願い申し上げます。

 

チケット料金(日時指定、全席自由席)

 前売りのみ・全席予約制 ワンドリンク付き ¥1,800

              終演後、劇団員とご歓談をどうぞ!

 

 

 

「アトリエ公演2015の反省会」から思うこと

 

                     劇団櫂人HP担当:服部 次郎

 

<アトリエ公演の意義>

 三ヶ月繰り返し公演の目的は、公演を一月ごとに3回繰り返すことによって、各人の役者としてのレベルアップを図っていくことにあった。また、ダブルキャストの意義も、違った個性を認め合いながらの切磋琢磨にあった。アトリエ公演だからこその意義をいかに実現したであろうか。

 本来は三ヶ月を同じ稽古日程で繰り返すものと思われていたところが、劇団員の理解の違いからそれができなくなり、演出家の居ない自主稽古が多くなる変則日程になってしまった。役者が全員揃わないところでの自主稽古は、本役同士での真剣なセッションを重ねて高まっていく本来の稽古には遠いものであったが、しかし、自主稽古に出た者にはそれなりの成果を感じることができた。

 自主稽古で役者同士が同等の立場で自由にお互いの演技に意見や感想を言い合う場ができたことは、それぞれの役の理解を深めるのに役に立っただけでなく、劇団員同士の信頼と結束を高める効果があった。むろん我々は、仲良しクラブに甘んじるつもりはないが、それにしても集団を維持していくための信頼感は必要なことだと思っている。

 自主稽古にも功罪があることはわかっている。演出家に指示されたことが未消化で、それを穴埋めするために行う自主稽古はどれだけやってもいい。未消化のまま遅れていくことは許されないからである。しかし、自主稽古で調子に乗って勝手なイメージを膨らませて演出と違う方向に進んでしまう危険もないではない。今回も、演出の居ないところで勝手なミザンセーヌを取り入れて、あとで演出に取り消されたところがあったのは反省しなければならない。

 また、あまり稽古を重ねすぎて、慣れすぎると予定調和な演技になってスリリングじゃなくなるといわれる。演技は相手からの刺激をいかに受け止め、そして相手にどれだけの刺激を与えうるかであるという。だからベテラン役者はある程度のミザンセーヌができあがれば、稽古では手の内を隠して、本番の舞台で相手に思わぬ仕掛けをして、相手も思わぬ仕返しをして、いわゆる丁々発止とやり合うのが緊張感のあるスリリングな演技だという。しかし、それは高いスキルを持った名優の世界の話で、我々ごときはやはり「稽古すればするほど上手くなる」を信じて稽古に励むことである。繰り返し稽古に励んでいれば、時として丁々発止の領域に踏み込むことができるやもしれぬというものであろう。

 ところで、本来三ヶ月を繰り返し稽古すると思っていたことが崩れた背景には、スケジュール管理の甘さがあった。初めから終わりまでの三ヶ月繰り返し公演の稽古日程を公演体制に入ると同時にきちんと示すべきであった。そうすれば仕事のある人もシフトを組みやすかったであろう。スケジュールの提示が後追いであったのは今回の大きな反省点である。

 

<スタッフ面について>

 稽古場に仮設の客席を作って、キャパ30名のちゃんとした会場にしたのは今後への大きな成果であった。狭い中での会場運営もよくできた。ただ、前説が下手だと演出に指摘されたことは反省しよう。

 山田健之さんの音響はとても効果的であった。劣悪なブースで素晴らしい音を出してくださったことに感謝します。また、照明の青木慶太さんも本来照明設備のない稽古場でよく劇場のようなアカリを作ってくれました。感謝してます。

 演出の篠本賢一さんが舞台美術も担当してくださったが、狭い空間を三本三様の異なる空間に仕切ってくださって見事であった。劇団員一同いつも感謝しております。

 今回会場が超狭いこともあり、開演後の入場をお断りすることにした。全席予約制のため誰が遅れているのかわかっていて、しかも必ず来るとわかっていれば、なかなか打ち切って開演する決断ができない。そのため、最終公演などは10分以上も開演を遅らせることになった。開演定刻前から待っていたお客様には大変申し訳ないことであった。演出によるとヨーロッパなどの演劇先進国では、開演時刻に遅れた人は非情に打ち切るそうで、それが当たり前とする文化が成熟しているそうだ。我が国では、仕事が抜けられなくて、開演時間に間に合わないで、開演後にごそごそと席を探す人が居るのは当たり前の劇場風景である。芝居は開演前に着席するという当たり前の文化を定着させたいものである。

 チケット管理の方法に改善の余地があるとの反省があった。半券のチェックに問題があったようである。

 各人のお客様に対するお礼状などの経費は、各人のチケットバックによってまかなわれるものとするという確認があった。

 公演全体のキャパに対して8割弱程度しかお客様を呼べなかった。チケットを売って公演経費をまかなうのは劇団経営の基本であり、チケットを売ることは劇団員の義務である。これまでチケットノルマは課して来なかったが、次回からはノルマも検討する必要があろうとの意見も出た。

 

<総括として>

 小説家としては定評があっても劇作家としては知られていない横光利一の戯曲を取り上げて世に問うた意義は大きかったといえる。その証左として横光利一の研究者が公演を観に来てくださって、来年3月に横光利一の研究者の全国大会があるので、そこで上演してほしいとの依頼を受けた。我が劇団のアトリエ公演が横光利一の文学研究に一石を投じたとすれば大いに意義深いことである。

 

 

 

 

「閉らぬカーテン」

 

 

 

「男と女と男」

「日曜日」

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